仕事でプレゼンテーションするのが苦手。
説得力のある企画書が書けない。どうにかしたい。
そんな方にお勧めできる本を読みました。
著者は博報堂で数々のCMを手がけたのち、現在は大手企業などのスピーチライターとしても活動しおり、多くの指名が殺到しているとのこと。
その他にも大学で講義をもち、学生からも支持されているという方です。
物語は、言語表現に劣等感をもつ社会人の山崎大が、母校で講師をしている和田先生から講義をうける形で進行します。
1日1テーマ、計5日間の講義を通じて、各テーマに関する5つのメソッド(計25個)を学び、最終的には新商品に関する発表原稿を書くまでを描きます。
どれも実践的なテクニックであり、ロジカルな説明も加わっているため非常に参考になる内容でした。
25個を一度に実行するのは難しいかもしれませんが、3~5つを取り入れるだけでも言語化能力が向上するのではないかと思います。
プレゼンテーションや企画書作成のみならず、あらゆるシーンで必要な言語化力を身につけられる一冊です。
5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本おススメポイント
おススメポイント①:25個のメソッド
本書は、思いを言葉にする力を5つに分類しています。
- 思いを言葉にするために必要な能力
- 言語化力
- 思考力
- 発想力
- 表現力
- 説得力
上記の能力を磨くための方法として、それぞれ5つのテクニックが紹介されています。
また、主人公がお悩み相談をする形式で表現されているため、ピンポイントで具体的なアドバイスとなっています。
そのため主人公が課題としている部分と、自分の課題との共通点の章から読み進めて、取り込んでいくという読み方も可能です。
おススメポイント②:著者の解説
本書は、基本的には主人公と先生とがやり取りをする形で進んでいきます。
主人公の課題に対して、先生がメソッドとその理屈を説明するのは前述の通りです。
ただ、合間合間に著者からの解説も加わります。
それは、総論的なことでありますが、思いを言葉にするためのにはどの様なことが必要であるか補足的に書かれています。
例えば、p.158にはこんなことが書かれていました。
もっとも大切なのは、子どもたちの文章のような、あの手もこの手も使って、読んでもらいたい、わかってほしい、返事をかいてほしいという「熱さ」なのです。
この様にテクニックばかりでなく、メンタル的な部分にも言及されており、その点においても文章に血が通っているように感じました。
おススメな人
基本的には、言語表現を必要とされる全てのシーンで活用できる本だとは思います。
ただ個人的には、冒頭でも話したように以下の方々におススメできるのではないかと思います。
- おススメな人
- 仕事でプレゼンテーションする人
- 企画書を書く必要がある人
- アイデアを求められる人
やはり、著者が広告代理店勤務であることからも、思考方法であったり、発想方法という点が特に印象に残りました。
単純に言葉にするだけでなく、少しひねりを加えたり、異なる角度から物事を見るための視点を学ぶのに有益な本だと思います。
そういった意味で、上記の方々におススメなのではないかと思います。
5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本のおススメメソッド3選
以下に個人的に印象に残ったメソッドを3つ挙げます。もちろん他にも有用な方法は例示されていましたが、厳選してみました。
おススメメソッド①:〇〇という考え方
この方法は、新しい提案をすることが求められる場面や、オリジナリティが必要なシーンで使えるモノだと思います。
商品紹介であれば、コンセプトや切り口を考えるときに参考になるかと思います。
具体的には、例えば「バニラアイス」の紹介をするとして、なんの捻りもなく表現してしまうと「冷たい」「白い」「おいしい」といった非常に表面的な形容詞が並んでしまうのではないでしょうか。
そんな時、「〇〇という考え方」を使います。
つまり
「大人のバニラアイスという考え方」をすると、少し印象が変わるのではないでしょうか。
味に関しては、甘さもありながら後味もすっきりしているであるとか。
見た目のパッケージも高級感を演出するようなデザインを採用するとか。
このように、商品に対して〇〇を加えることにより、ステレオタイプな見方から少し変化を加えることができると思います。
実際にこの様なイメージ戦略をとっているのが、「夜のお菓子」として有名なうなぎパイが挙げられます。
この「夜のお菓子」という言葉に込められた意味は、夜の家族団らんのひと時に、子供から大人まで皆で団らんしながら味わって貰いたいというコンセプトをもとにしています。
決して下ネタ的なことではありません。
この様に、古くからある有名お菓子にも利用されているように、使い勝手の良い方法であると感じました。
おススメメソッド②:擬人化する
まだ世の中にない考え方や商品をわかりやすく人に伝えるような場合、または伝える対象が経験したことのない出来事を伝える場合などに、擬人化するという方法があります。
擬人化することによって特徴をよりクローズアップすることができ、相手と共通のイメージを持つことができる可能性が高まります。
べたな例であれば、アメリカという国を説明するとしたら、ドラえもんに出てくるジャイアンみたいな国というと、なんとなく傲慢な態度の国なのかなとイメージが沸いてくるのではないでしょうか。
また、ご当地キャラが隆盛したのも、キャラにその地方のイメージを反映させることにより、ポジティブな印象を持ってもらうという戦略があってこそのものでしょう。
実際、商品を擬人化するというブランディングは比較的多くの商品で行われているようです。
- ワコール → パンツを擬人化
- ロッテ → ガムを擬人化
- TOYOTA → 車を擬人化
このように分かりやすくイメージを伝え、共有することを考えたときには、擬人化するという手段は非常に重要な方法であると言えます。
以前紹介したマーケティングにおける「差別化」戦略の一つとしても利用できるのではないかと思います。
おススメメソッド③:「〇〇の〇〇」で分かってほしいポイントを明確にする。
仕事でプレゼンテーションをしたり、企画を通すためには、自分の考えを具体的に表現することや、的を得た表現をする必要があると思います。
その際、「〇〇の〇〇」という方法を使うと、必要のないものを切り捨て、表現したい対象により明確に近づくことができます。
本書の中で例示されていたのは、以下のようなものでした。
例えば「早春」ということを表現する場合、下に挙げる写真のうちどれが最も適しているでしょうか。
- 天気の良い公園
- ピクニックをしている家族
- 桜の芽
いかがでしょうか。
問うまでもなかったかもしれませんが、「早春」を表現するものとして最も適当と思われるのは、「桜の芽」ではないかと思います。
この様に、「〇〇“の”〇〇」と表現すると、物事の解像度を高めることができるのです。
- ラーメンがおいしかった → ラーメン“の”スープがおいしかった。
- 猫がかわいい → 猫“の”つぶらな瞳がかわいい
そしてさらにその理由であるWHYを問うと、より具体的に表現することができます。
ラーメン“の”スープが、“魚介の出汁がよく出ていて”おいしかった。
このWHYを問う思考方法は、「メモの魔術」でも有効性は示されていました。
なんにせよ、「〇〇の〇〇」という表現方法を使い、その理由を加えることによって、言葉が深みを増して立体的になっていくと思います。
5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本の感想まとめ
著者は言います。
言葉は花火のようであると。
言葉が出てこないというのは、言葉の導火線が湿ってしまっている状態。
トレーニングで、この湿った状態を改善することによって、花火が打ちあがるようになると。
私は、話し方が拙く、気の利いたことことがあまり言えないというコンプレックスがあります。
このブログも書いていながら、とても窮屈な気持ちを感じながら書いています。
そんなことからこの本に興味を持ちました。
本書には25個のトレーニングがありましたが、今回紹介した3つだけでも考え方に取り入れていきたいと思います。
私のように言語化にコンプレックスがあるような方で、今回の3つにピンとこなかった方もいるかもしれません。
とはいえ、これら以外にもどれか琴線に触れるメソッドが見つかるかもしれません。
本書をポチることで、トレーニングを知り、実践し、夜空に広がる花火のように綺麗なコミュニケーションが描けるように一緒になりましょう。