前田裕二さんの「メモの魔力」を読みました。
前田さんは、株式会社SHOWROOM経営する実業家です。
そのルックスも相まって新進気鋭の実業家として注目されています。
「メモの魔力」は2019年に出版され、その年の上半期1位のビジネス書となりました。
今回、私が読んでみようと思ったのは、
- メモ・手帳の体系的な書き方を知りたいと思った。
- 自己分析の方法を知りたいと思った。
という上記2点の理由からでした。
結果、自己分析の方法を知るという意味で大変参考になる本でした。
そもそも、メモを取る・手帳を書く行為において、大切なことは「何のために?」という目的が重要です。
「何のためにメモをとるのか?」という目的を深く掘り下げることの大切さをこの本は説いています。
ですから、この本をおススメできるのは、以下のような方になると思います。
- 進路に悩む方
- 就職・転職を考えている方
- やりたいことがハッキリしない方
上記のような方にとって、メモを取る行為だけでなく、自分自身の想いや考えを知る、振り返るための考え方を学ぶ、といったことができるのではないかと思います。
私自身も転職や人生の方向性を考えている時期であったので非常に参考になりました。
学びのアウトプットとして以下をまとめようと思います。
- メモの魔力とは何か?
- なぜメモを使って抽象化する必要があるのか?
- メモの魔力の抽象化とは?
- メモの魔力の転用とは?
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メモの魔力とは何か?
メモの書き方
まず前田さんの提案するメモの書き方としては、以下のフォーマットを推奨されています。
- まず「ファクト」として、客観的な事実を記します。
- 続いて、その事実から導かれる他に応用可能な要素を「抽象化」として抜き出します。
- そして、その要素を他の行動に「転用」する。
こうした一連の思考過程をメモとして記す方法が前田さんのメモの書き方です。
メモの魔力とは
たしかに単純なメモをとる、記録をとるだけの行為とは異なる方法かもしれません。
しかし、メモはメモです。
この方法を実践することで何が得られるというのでしょう。
具体的には以下の能力が獲得できると前田さんは記します。
- アイデアを生み出せるようになる。
- 情報を「素通り」しなくなる。
- 相手の「より深い話」を聞き出せる。
- 話の骨組みがわかるようになる。
- 曖昧な感覚や概念を言葉にできるようになる。
こうしたスキル・能力を向上させる力が「メモをとる」という行為にあるとしています。
またこの能力を利用することで
- 自らを知り、さらに物事を客観的にとらえることができる。
- それによって獲得した視座に基づいて行動するので、夢を現実にできる。
これこそが「メモの魔力」であると述べられています。
なぜメモを使って抽象化する必要があるのか?
なぜメモをとり、自らをより知る必要があるのか。
その理由は以下のような時代背景にあると述べられています。
- 組織の終焉
- プロジェクトベースの働き方
- 共感を得られる個人が強い
端的に、これまでよりも専門性や個性に満ちた個人にスポットライトが当たりやすく、活躍が求められているので、自分自身を今まで以上に知る必要があるのです。
組織の終焉
これからはテクノロジーの発展により、これまでよりも社会的な変化が速くなることが予想されます。
あまりに大きな組織となってしまった場合、その大きさのために時代の変化に適応しづらくなってしまうのです。
であるからこそ、これまでのように組織に所属・依存するのではなく、個人として自立できることが求められる時代になっているといいます。
プロジェクトベースの働き方
組織の終焉は、いわゆる終身雇用制度の崩壊とも通じています。
終身雇用に代わるのは、ジョブ型雇用といわれており個々人が専門性や技術を持ち寄って、仕事にかかわる働き方です。
更に言うと、その仕事はプロジェクトベースであり、プロジェクトが完了する毎に解散し、新規のプロジェクトが始動すれば、また集まるといったような形式となります。
その場合、集まるメンバーはいつも異なり、阿吽の呼吸よりも高度なコミュニケーションスキル(言語化能力)が求められることになるのです。
共感を得られる個人が強い
また近年はSNSの発達により、個人がインフルエンサーとしての影響力を発揮するようになっています。
こうしたインフルエンサーは、多くの人々から支持される必要がありますが、その時に大事な要素として「共感」が挙げられています。
共感を、他者から、しかも多くの他者から得るためには、突出する必要があります。
また、人々のニーズにおもねるのではなく、インフルエンサー自身が心から取り組んでいる必要があります。
その場合、最も強いのは「夢中になれるオタク」であり、自分の趣味趣向を自覚的に深めていける人であると言われています。
メモの魔力による抽象化とは
本質を知る
前田さんは、抽象化の手法として次の3つの方法を挙げています。
- WHAT
- HOW
- WHY
そして、その中でも特に「WHY」と問うことを重要視されていました。
どういうことかというと、例えばあるヒット商品Aがあるとして、「なぜ(WHY)この商品は売れるのか?」という問いをたてることが重要であるということです。
その問いによって、ヒット商品が売れる原因の本質的な要素を理解することができます。
ある事象の本質を理解することは、ほかの事象にも流用できるできる場合があるため、法則を見出すことができます。
つまり、抽象化によって、物事の再現性や汎用性を生み出し、様々なことに応用が可能となります。
こうした抽象化をするにあたっては、「ほかに活かせないだろうか?」という視点も思考を深めることにつながるとも説いています。
構成要素を知る
- 気づき…他にも当てはまることがないか探す。
- 背景…ある事象が起こる背景、原因を探す。
- 特徴…個性を成立させている条件を探す。
- 法則…決まり事やルールを探す。
このように事象を分析し、他に転用しうる要素を抽出することが抽象化であり、それによって、様々なことへの応用力が養われると述べられていました。
メモの魔力の転用とは
抽象化するだけがメモを取る意義ではありません。
他のことに転用してこそ、より意味を持ちます。
その主な理由として以下のようなことが挙げられていました。
言語化
メモを取ること、すなわち言語化することによって思考は現実化すると述べられています。
その大きな理由は2つ。
- マインドシェア
- 言霊
マインドシェア
わかりやすく言えば、事象に関してどれだけ考えているか。
頭の中をどれだけ夢や思考で占められているかによって、現実化する度合いが変わってくると。
思考を紙に書き出し、言語化した時点で潜在意識に刷り込まれる程度が強まる。
単純に夢について考える時間が長ければ、それだけ現実化する可能性は高まると考えられますが、その時に必要なものは具体的な言葉です。
ただ漠然と思い描くだけでなく、より具体的に、細部に及ぶまで夢、夢への過程を言語化することができれば、現実化する可能性は高まることでしょう。
言霊
「言霊」とだけ書くと、ややスピリチュアルな感じではありますが、「言葉の力」と言い換えることができるでしょうか。
誰にでも、言葉によって勇気づけられたり、傷つけられたりしたことがあるのではないかと思います。
その言葉を何度も自分の中で反芻することで、力が湧いてきたり、逆に落ち込んでしまったり。
言葉には、否定できない力が備わっています。
ですから、言語化することは、言語化していない場合に比べて共感する人が増えたり、サポートしてくれる人が増える可能性がある。
その力を利用することができるのです。
行動の細分化
前述したように、夢や目標をより細部にわたって言語化することによって、思考は現実化しやすくなります。
それはつまり、取るべき行動を細分化する作業でもあります。
自らの夢に向かうための地図を、より詳細に描けた方が、そこにたどり着ける可能性は格段に高まるのと同様です。
そのために、アクションプランとして行動を細分化する必要があるのです。
それが前田さんのメモ術の大きな意義といえます。
メモの魔力の感想まとめ
私は前田さんのメモの魔力を読んで、最も重要な部分は「抽象化」ではないかなと思いました。
ある行動をとるにしても、その理由が言語化できなければ、自分の中でも曖昧になってしまう。
自分自身で意義を明確にできていないことを、他人に説明し理解を得ることができるでしょうか。
夢や目標を達成するとき、自分一人では難しい局面があるでしょう。
そんな時、人の力を借りるためには共感や理解を得ることが必要です。
そのためには、「WHY」の部分を自身で明確にしておく必要があるのです。
自らの進路や取るべき行動に迷ったとき、その答えは、案外自分の中にあったりします。
自分の中の答えにたどり着くための手法として、本書の内容は参考になると思いました。
なにより、巻末に自己分析の問いが用意されていて、その一つ一つに答えを出すために思考することは、非常に歯応えのある作業になりそうです。
進路に迷う方、就職・転職を考えている方にとって、自己分析のやり方やその意義を知る意味でも非常に役に立つ内容です。
ぜひ手に取って頂くことをおススメします。